【登辞林】(登記関連用語集)


[か]

簡易合併 株式会社を存続会社とする吸収合併において、存続会社の株主総会による合併契約書の承認決議を要しない合併
次の1.の金額が2.の金額の5分の1(存続会社の定款において、これより小さい割合を定めた時はその割合)を超えない場合に行うことができるが、存続会社に合併差損が生ずる場合や、存続会社が公開会社ではなく、消滅会社の株主に存続会社の譲渡制限株式が交付される場合には、行うことはできない(会社法第796条第3項)。
1.(イ)〜(ハ)に掲げる金額の合計額
(イ)消滅会社の株主等に対して交付する存続株式会社の株式の数に一株当たり純資産額を乗じて得た額
(ロ)消滅会社の株主等に対して交付する存続株式会社の社債、新株予約権又は新株予約権付社債の帳簿価額の合計額
(ハ)消滅会社の株主等に対して交付する存続株式会社の株式等以外の財産の帳簿価額の合計額
2.存続株式会社の純資産額として法務省令(会社法施行規則第196条)で定める方法により算定される額

(→略式合併

簡易株式交換 株式交換の手続きにおいて、株式交換完全親会社における、株式交換承認の株主総会決議を要しないもの。下記1の金額が2の金額の5分の1を超えない場合(完全親会社の定款でこれより小さい割合を定めた場合はその割合)に認められるが、この要件を満たす場合であっても、完全親会社に株式交換差損が生ずる場合や、完全親会社が公開会社ではなく完全子会社の株主に完全親会社の譲渡制限株式が交付される場合には、簡易株式交換を行うことはできない(会社法第796条3項)。
1.(イ)〜(ハ)に掲げる金額の合計額
(イ)株式交換に際して交付する完全親会社の株式の数に一株当たり純資産額を乗じて得た額
(ロ)株式交換に際して交付する完全親会社の社債、新株予約権又は新株予約権付社債の帳簿価額の合計額
(ハ)株式交換に際して交付する完全親会社の株式等以外の財産の帳簿価額の合計額
2.完全親会社の純資産額として法務省令(会社法施行規則第196条)で定める方法により算定される額
(→略式株式交換

簡易裁判所 裁判所法により設置される最下級の下級裁判所で、全国に438ヵ所設置されている(裁判所法第2条第1項、下級裁判所の設立及び管轄区域に関する法律(昭和22年4月17日法律第63号)第4表)。
簡易裁判所は、次の事項について第一審の裁判権を有する(裁判所法第33条第1項)。
1.目的の価額が140万円を超えない請求にかかる民事訴訟
2.罰金以下の刑に当たる罪、選択刑として罰金が定められている罪、常習賭博及び賭博場開張等図利の罪(刑法第186条)、横領の罪(刑法第252条)、盗品譲受等の罪(刑法第256条)に係る訴訟(家庭裁判所において取り扱う、少年法第37条第1項に掲げる罪にかかる訴訟の第一審の裁判(裁判所法第31条の3第1項第4号)を除く)。
簡易裁判所は、一定の場合を除き、原則、禁錮以上の刑を科することができない(裁判所法第33条第2項)。
簡易裁判所は、裁判所法に定めるものの外、督促手続(支払督促民事訴訟法第382条)等、他の法律において特に定める権限を有する(裁判所法第34条)。
簡易裁判所では、一人の裁判官でその事件が取り扱われる(裁判所法第35条)。
(→最高裁判所)(→高等裁判所)(→地方裁判所

簡易裁判所判事 簡易裁判所における裁判官の官名(裁判所法5条2項)。簡易裁判所判事は、最高裁判所の指名した者の名簿によつて、内閣でこれを任命する(裁判所法第40条第1項)。(→高等裁判所長官)(→判事)(→判事補

簡易の引渡し 民法上の占有権の移転方法のひとつで、譲受人又はその代理人が現に占有物を所持する場合に、当事者の意思表示のみをによって占有権を移転させること。物を賃借していた者が、貸主からその物を買う場合等。(→占有改定)(→指図による占有移転)(→現実の引渡し)(→代理占有

簡易分割 会社分割において、分割会社又は吸収分割承継会社の株主に及ぼす影響が軽微であると考えられる一定の場合に、その会社の株主総会の承認決議を要しないもの。以下の1〜3の場合に、それぞれに掲げた会社の株主総会の承認決議を省略することが可能である。
1.吸収分割により吸収分割承継会社に承継させる資産の帳簿価額の合計額が吸収分割会社の総資産額として法務省令(会社法施行規則第187条第1項)で定める方法により算定される額の5分の1(吸収分割会社の定款においてこれより小さい割合を定めた場合はその割合)を超えない場合における、吸収分割会社の株主総会(会社法第784条第3項)。
2.下記aの金額がbの金額の5分の1を超えない場合(吸収分割承継会社の定款においてこれより小さい割合を定めた場合はその割合)における吸収分割承継会社の株主総会。 この要件を満たす場合であっても、吸収分割承継会社に分割差損が生ずる場合や、吸収分割承継会社が公開会社ではなく吸収分割会社に吸収分割承継会社の譲渡制限株式が交付される場合には、簡易分割を行うことはできない(会社法第796条第3項)。
a.(イ)〜(ハ)に掲げる金額の合計額
(イ)分割に際して交付する吸収分割承継会社の株式の数に一株当たり純資産額を乗じて得た額
(ロ)分割に際して交付する吸収分割承継会社の社債、新株予約権又は新株予約権付社債の帳簿価額の合計額
(ハ)分割に際して交付する吸収分割承継会社の株式等以外の財産の帳簿価額の合計額
b.吸収分割承継会社の純資産額として法務省令(会社法施行規則第196条)で定める方法により算定される額
3.新設分割により新設分割設立会社に承継させる資産の帳簿価額の合計額が新設分割会社の総資産額として法務省令(会社法施行規則条第207条第1項)で定める方法により算定される額の5分の1(新設分割会社の定款においてこれより小さい割合を定めた場合はその割合)を超えない場合における、(新設)分割会社の株主総会(会社法第805条)。
(→略式分割

環境依存文字 特定の機種である、あるアプリケーションが導入されている等の条件が調わないと、表示できない、あるいは、違う文字が表示される文字。又は、その可能性のある文字。(→機種依存文字

環境衛生金融公庫 東京都港区赤坂一丁目9番13号。昭和42年9月2日設立。平成11年10月1日、国民金融公庫法の一部を改正する法律(平成11年5月28日法律第56号)附則3条1項により、国民金融公庫に統合し解散。

監査委員会 委員会設置会社において設置される委員会で、1.執行役、取締役、会計参与の職務の執行の監査及び監査報告の作成、2.株主総会に提出する会計監査人の選任及び解任並びに会計監査人を再任しないことに関する議案の内容の決定をする機関(会社法第404条第2項)。監査委員会の委員は、委員会設置会社若しくはその子会社の執行役若しくは業務執行取締役又は委員会設置会社の子会社の会計参与(会計参与が法人であるときは、その職務を行うべき社員)若しくは支配人その他の使用人を兼ねることができない(会社法第400条4項)。(→指名委員会)(→報酬委員会

管財人 本人に代わり財産の管理又は処分をする者。破産手続きにおける破産管財人破産法(平成16年6月2日法律第75号)第2条第12項)、会社更生手続きにおける管財人(会社更生法(平成14年12月13日法律第154号)第67条)、民事再生手続きにおける管財人(民事再生法(平成11年12月22日法律第225号)第64条第1項)、不在者の財産管理人民法第25条第1項)、相続財産管理人(民法第952条第1項)等。
更生会社の管財人が不動産を任意売却した場合の所有権移転登記申請には、裁判所の許可書、又は、許可を要しない旨の証明書の添付を要しない(昭和36年5月12日民事甲1152号民事局長通達、登記研究170号37頁、同425号128頁)。更生会社の管財人が更生計画によらずに不動産を売却し、その所有権移転登記申請をするにあたり、裁判所の許可書を添付できる場合(会社更生法第72条第2項参照)でなければ、登記済証又は登記識別情報を提供することを要する(登記研究694号223頁)。

監査法人 他人の求めに応じ報酬を得て、財務書類(財産目録、貸借対照表、損益計算書等)の監査又は証明をする業務を組織的に行うことを目的として、公認会計士法に基づき設立された法人公認会計士法(昭和23年7月6日法律第103号)第1条の3第3項、第1項、第2条第1項)。
監査法人を設立するには、その社員になろうとする者が共同して定款を定めなければならず、社員になろうとする者のうちには、5人以上の公認会計士である者を含まなければならない(公認会計士法第34条の7第1項)。監査法人は、政令(組合等登記令(昭和39年3月23日政令第29号))で定めるところにより、登記をしなければならず、その主たる事務所の所在地において設立の登記をすることにより成立する(公認会計士法第34条の6第1項、第34条の9)。
社員の全部が無限責任社員である旨又は有限責任社員である旨の定款の定めの別により、「無限責任監査法人」又は「有限責任監査法人」のいずれかとなり、社員の一部が無限責任社員で一部が有限責任社員である形態の監査法人は認められていない(公認会計士法第34条の7第3項5号、第1条の3第4項、第5項)。(→会計監査人

監査役

監査役会 全ての監査役で構成される株式会社の機関。監査役は3名以上いることを要し、そのうち半数以上は社外監査役でなければならない。大会社(非公開会社委員会設置会社は除く。)では必須の機関であるが、その他の会社では設置は任意である。監査役会設置会社は、取締役会を置かなければならない。監査役会は、監査報告の作成、常勤監査役の選定、監査方針、業務及び財産の状況の調査方法に関する事項の決定などを行う。

干支(かんし)(→干支(えと))

間接強制 民事執行法上の強制執行の一つで、裁判所が債務者に対して、遅延の期間に応じ、又は、一定の期間内に債務を履行しないときは、一定の金銭の支払義務を課することによって、債務者を心理的に圧迫して、債権の内容を実現させようとするもの(民事執行法172条)。(→直接強制)(→代替執行

間接金融 企業などの資金需要者が、銀行や保険会社などの金融機関からの借り入れにより資金調達をすること。銀行預金者や保険契約者の預金等の資産が、金融機関を通じて供給されることからこう呼ばれる。(→直接金融

間接取引 利益相反取引のうち、役員等の個人の債務を法人が保証する等、法人と役員等の利益は相反するが、当該役員等が契約の当事者ではない取引。保証契約の場合、この役員等は主たる債務者であるので、広い意味では、契約の当事者であるが、保証契約を締結するのは、債権者と保証人たる当該法人である。法人等が、役員等が代表をする他の法人等の債務を保証する場合も同様である。(会社法第356条第1項第3号等)(→直接取引

換地計画 換地処分を行うための計画。施行者が個人施行者、組合、区画整理会社、市町村又は機構等(独立行政法人都市再生機構又は地方住宅供給公社)であるときは、国土交通省令(土地区画整理法施行規則(昭和30年3月31日建設省令第5号))で定めるところにより、その換地計画について都道府県知事の認可を受けなければならない(土地区画整理法(昭和29年5月20日法律第119号)第86条、土地区画整理法施行規則第11条)。

換地処分 換地計画で定められた処分事項の効力を生じさせる手続。原則として換地計画に係る区域の全部について土地区画整理事業の工事が完了した後遅滞なく、関係権利者に換地計画において定められた関係事項を通知することにより行われる(土地区画整理法第103条第2項、第1項)。換地計画において定められた換地は、換地処分の公告があった日の翌日から従前の宅地とみなされ、換地計画において換地を定めなかった従前の宅地について存する権利は、換地処分の公告があった日が終了した時において消滅する(土地区画整理法第104条第1項)。

監督委員 (1)民事再生手続開始の申立があった場合において、裁判所が必要と認めるときに、監督委員による監督を命ずる処分(監督命令)において選任された再生債務者を監督する者(民事再生法(平成11年2月22日法律第225号)第54条第1項、第2項)。法人も監督委員になることができる(民事再生法第54条第3項)。監督命令において、監督委員の同意を要するとされた行為につき、監督委員の同意を得ないでした行為は、無効とされるが、善意の第三者には対抗できない(民事再生法第54条第4項)。
(2)会社更生手続開始の申立てがあった場合において、裁判所が必要と認めるときに、監督委員による監督を命ずる処分(監督命令)において選任された、手続開始の申立てにつき決定があるまでの間、更生手続開始前の会社を監督する者(会社更生法(平成14年12月13日法律第154号)第35条第1項、第2項)。監督委員の同意を要するとされた行為につき、監督委員の同意を得ないでした行為は、無効とされるが、善意の第三者には対抗できない(会社更生法第35条第3項)。
(3)株式会社が特別清算手続をするにあたり、裁判所により選任され、当該株式会社を監督し、会社法第535条第1項の裁判所の許可に代わる同意をする権限を付与された者(会社法第527条第1項)。法人も監督委員となることができる(会社法第527条第2項)。

監督義務者の責任 責任無能力者が、不法行為における損害の賠償をする責任を負わない場合において、親権者後見人等、その責任無能力者の監督をする義務を負う者が、その義務を怠らなかったとき、又はその義務を怠らなくても損害が生ずべきであったときを除き、その責任無能力者が第三者に加えた損害を賠償する責任を負うとするもの(民法第714条第1項)。監督義務者に代わって責任無能力者を監督する者もこの責任を負う(民法第714条第2項)。(→使用者責任)(→注文者の責任)(→工作物責任)(→動物の占有者の責任

監督命令 (1)民事再生手続開始の申立があった場合において、裁判所が必要と認めるときに、利害関係人又は職権で、監督委員による監督を命ずる処分(民事再生法(平成11年2月22日法律第225号)第54条第1項)。監督命令においては、一人又は数人の監督委員が選任され、監督委員の同意を得なければ、再生債務者のすることができない行為が指定される(民事再生法54条2項)。監督委員の同意を要するとされた行為につき、監督委員の同意を得ないでした行為は、無効とされるが、善意の第三者には対抗できない(民事再生法第54条第4項)。
(2)会社更生手続開始の申立てがあった場合において、裁判所が必要と認めるときに、利害関係人又は職権で、手続開始の申立てにつき決定があるまでの間、監督委員による監督を命ずる処分(会社更生法(平成14年12月13日法律第154号)第35条第1項)。監督命令においては、一人又は数人の監督委員が選任され、監督委員の同意を得なければ、更生手続開始前の会社のすることができない行為が指定される(会社更生法第35条第2項)。監督委員の同意を要するとされた行為につき、監督委員の同意を得ないでした行為は、無効とされるが、善意の第三者には対抗できない(会社更生法第35条第3項)。

官報 日本国が発行する唯一の法令公布の機関紙、国の広報紙及び国民の公告紙。原則として、本紙・号外・政府調達公告版が、平日、毎日発行される。法律・政令・条約、告示、国会事項、国家試験の合格者発表及び公聴会等、各省庁の公告、破産等の裁判所の公告、特殊法人・地方公共団体・会社の行う法定公告等が掲載されている。憲法、法律、条約、政令、省令などは官報に掲載されて初めて公布されたことになり、国立印刷局及び東京都官報販売所に掲示される当日の午前8時30分法的な効力が発生する。国立印刷局により、編集・印刷され、政府刊行物サービス・センター、官報販売所にて販売されている。インターネット版官報では、直近30日分(平成21年4月1日より、直近1週間分から拡大された)の官報が配信されている。また、官報情報検索サービス(有料)も提供されている。

(株)かんぽ生命保険 日本郵政グループの生命保険業を営む会社。平成18年9月1日設立。平成19年10月1日、「(株)かんぽ」から商号変更。同日、東京都港区虎ノ門三丁目1番1号から、東京都千代田区霞が関一丁目3番2号へ本店移転。株式は、日本郵政(株)が100%保有する。

元本確定 不特定の債務を担保する根抵当権根質権などの物的担保、又は、根保証などの人的担保において、担保すべき債務を特定させること、又は、債務が特定すること。(→根抵当権の元本確定

元本極度額 昭和47年4月1日施行の民法改正前の根抵当権において、判例によって認められていた極度額の定め方で、極度額の制限は元本債権についてのみであり、これに加え、最後の二年分の利息・損害金につき、優先弁済権を行使できるとするもの。(→債権極度額

カンマ(comma)[,] (1)言葉と言葉の区切りに用いる。商業登記において、商号中、字句を区切るために用いることができる。横書きの出版物では、「、」のかわりに使われることが多い。
(2)数値について、3桁ごとの区切りに用いる。コンマ。

管理組合 区分所有者全員で構成する、建物並びにその敷地及び附属施設の管理を行うための団体で、建物の区分所有等に関する法律の定めに従い、集会を開き、規約を定め、管理者を置くことができる(建物の区分所有等に関する法律第3条)。(→団地管理組合

管理組合法人 区分所有者で構成する管理組合が法人となったもので、区分所有者及び議決権の各4分の3以上の多数による集会の決議で、法人となる旨、及び、名称及び事務所を定め、主たる事務所の所在地において設立登記をすることにより成立する(建物の区分所有等に関する法律第47条第1項〜第3項。組合等登記令(昭和39年3月23日政令第29号)第1条、第2条、別表参照。)。管理組合法人は、その事務に関し、区分所有者を代理し、規約又は集会の決議により、その事務に関し、区分所有者のために、原告又は被告となることができる(建物の区分所有等に関する法律47条6項、8項)。管理組合法人は、その名称中に「管理組合法人」という文字を用いなければならず、管理組合法人でないものは、その名称中に「管理組合法人」という文字を用いてはならない(建物の区分所有等に関する法律第48条)。(→団地管理組合法人

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